相続手続きの負担を軽くする生前整理とは?

「生前整理」の効果は、要らないものを捨てて、暮らしがスッキリするばかりではありません。財産を整理すると、これからやるべきことが見えてくるようになります。

まず第一にしていただきたいのは、財産の明確化。つまり、財産のリストアップ 表の作成です。

そして、銀行口座の整理です。

・1つの銀行に複数の口座がある場合、口座の数を減らす

・取引銀行の数を減らす

 なぜなら、口座を持っているだけで、口座管理維持手数料が必要になることがあるからです。(銀行によって異なります)。つまり、お金を貯めているつもりの口座から資産が減っていく・・・・のです。例えば・・・

三菱UFJ銀行の場合

 2021年7月1日以降に開設され、2年以上未利用の普通預金口座については、不正口座の作成・利用の防止や口座の維持・管理に係る費用の一部に充当するための手数料「未利用口座管理手数料」(年間1,320円(税込))が新設されました。

 ゆうちょの場合

 【平成19年9月30日以前に預け入れされた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金】
満期後20年2か月を経過してもなお、払い戻しの請求等をしない場合、旧郵便貯金法の規定により、預け入れた人の権利が消滅し、払い戻しが受けられなくなります。

死後、相続手続きをする段になると、被相続人の預貯金口座を一括で調べる方法はありません。

不動産の名寄せサービスのように、被相続人の預貯金口座を一気に調べられる手段はなく、手がかりをもとに一つひとつ地道に調査しなければならないのが実情です。

被相続人宛ての金融機関からの郵便物や、被相続人が使っていた手帳、カレンダー、被相続人と付き合いがあった人物の話などをもとに、取引があったであろう金融機関を推測し、問い合わせることを繰り返します。つまり、銀行口座の整理は、相続発生時、家族への手続き負担の軽減になるのです。

口座の整理の次は、不動産の整理です。

持ち家に居住している場合、登記簿謄本を取り寄せ、名義人の確認をしておくことが大事です。

・亡くなっている人の名義の場合は、名義変更をしましょう。

2024年の4月から、相続登記の義務化スタートしました。相続登記の内容は以下の通りです。

  1.  相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記義務化。
  2. 遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記義務化。
  3. と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

     なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。

・相続登記未完了におけるデメリットを紹介します。

  • 土地や建物を売却できません!
    • 不動産を担保として融資を受けられない
    • 相続人に認知症の患者が出てしまうと、その後、遺産分割できない
    • 相続人に行方不明者が出てしまうと、遺産分割手続き煩雑に
    • 時間の経過とともに相続人の数が増え手続き煩雑に
    • 相続人の意見が変わってしまうと相続争いに
    • 債権者の差し押さえを受けて売却されてしまうことも
    • 空き家のまま放置すると、老朽化した家屋倒壊の危険性が

・未登記物件の場合も、注意が必要です。(固定資産税を払っていることと、登記は別です)

 未登記のデメリットとしては、売買・融資・相続が困難になります。

財産の生前整理をすると、相続続きが簡単になり相続人の負担軽減につながります!また、「この財産は、あの子にあげたい。この子に引き継いでもらいたい」と考えた場合、遺言書が必要になる人も出てきます。遺言書を残すべき人の例例を紹介します。

  • 子供のいない夫婦
    • 子世帯と親の持ち家に同居している場合
    • 事業を継続させたい人
    • 離婚や再婚歴のある人
    • 内縁関係の相手に財産を譲りたい人
    • 主な相続財産が不動産の人
    • 特に援助の必要な家族がいる場合
    • 未認知の子供がいる場合
    • ペットを飼っている人
    • 相続人がいない人
  • 「ウチは、遺言書がいるの?」
  • 「遺言書の書き方がわからない」
  • 「相続手続きの方法がわからない」
  • 「亡くなった親族名義の不動産がある」
  • 「相続登記をしたい。だれに相談すればいい?」
  • 「親が高齢。遺言書を書いてほしいと思っている・・・」
  • 「生前整理を手伝ってほしい・・・」等のご相談は、行政書士 たにぐち事務所へご連絡ください。お手伝いさせていただきます。